2014年7月16日

上から目線

 普通に上から目線でウザかったんですけど? まぁ、そうですよね。僕なんかあなたたちに取っては下っ端の下っ端ですからね。
 他人を自分が楽しむための道具としか認識できていないんであろう猿たちが、ワーキャー騒ぐのを僕は一次会の間ずっとタブレット越しに眺めていた。
「みんなのお陰で、埼京高校の文化祭も、埼京女子の文化祭も成功させることができました。みんな、本当に・・・・・・、本当に! ありがとぉおおおおおおおおう!!」
 そう、うちの生徒会長が叫んで、一次会はフィナーレとなった。

2014年6月29日

混乱混じりの声

 当たり前のように残っていたバッグをレジに持って行き、現金で料金を払う。店員が困惑しているのが分かったけど、俺は普通にしていた。
「ありがとうございましたー」
 という店員の、混乱混じりの声を聞きながら店を出る。良いだろ! 金払ったんだから!
 ヴィーナスフォートを出て、和奏達の所に戻ると、まだ復旧作業を続けていた。
「あたし達が苦労して復旧してるって時に、買い物ぉ?」
 と、やっぱり和奏はキレた。
「ご、ごめん・・・・・・」
「何買ってきたのぉ?」
 こ、怖ぇ・・・・・・。和奏、どうしたんだろう?

2014年6月13日

才能が無いこと

『才能が無いことを嘆くことが許されるのは、これ以上ない程までに努力をした者だけだ』という言葉をどこかで聞いた事がある。
 じゃあ、証明してやるよ。俺の才能じゃ、俺の能力じゃ、どんなに頑張ってもあの人を助けられないって事をさ!
 俺+[餓鬼]二体 対 餓鬼六体。うん。十分絶望的でしょ。
 俺は一体の[餓鬼]の背中にしがみつき、そのビルよりも高いビルに飛び乗らせる。
 餓鬼達は、俺達に気付いていない。喰える事がほぼ確実な獲物に完全に意識が取られている。

2014年5月31日

嗜虐的

「拓!・・・・・・わ、わたしさ、妖霊を押さえつける術を父さんから教えて貰って・・・・・・」

「術師じゃない小娘の使える術なんぞ、永続術だろう?そんな事のために霊力を常に消費してどうする?」

 ゴク、ゴク、ゴク、とまるでジュースでも飲むかのように妖力を飲みながら、架は言う。

「それに、そうしてどんどん妖霊を押さえつけて、妖霊の群れみたいなのを引き連れていたやつも昔はいたが、そいつは殺されたぞ?」

 自分で押さえつけ切れなくなった妖霊達にな。と言って架は笑った。嗜虐的に、凄惨な笑みを浮かべながら。

2014年5月12日

投げる言葉

 『頑張って』は、もう既に頑張っている人に対して言っても無意味だし、最大限に頑張っている人に使ったら、その人を追い詰めることにもなりかねない。
それに、頑張っては、他人に全てを投げる言葉だ。他人に期待し、自分は何もしない。それが『頑張って』だ。決定的に、自分と他人を切り離す言葉。別々の個体だと言うことをはっきりさせる言葉。
 だから、俺は『頑張って』は使いたくない。
 そんな、辛い人とか、苦しむ人とかを、自分と切り離して考えるためにできたような言葉に、俺は何も託したくない。

2014年4月29日

仕方ない

 『仕方ない』、その言葉を聞いた瞬間、その無責任さに腹が立った。初対面の人に怒りをぶつけるのも無躾だし、そもそも僕はいつもは怒りを他人にぶつけたりはしない。その方が良好な人間関係を維持できると、僕は信じている。でも、何でだろう?隔離学級の先生が、本来そういう人達を守るべき人が、諦めていることが嫌だったのか、何もできなかった癖に自分を擁護しているアラサーが嫌だったのか・・・。いや、多分、甘えたんだ。このアラサーなら理解してくれるんじゃないかって。生徒のことを『人』と呼ぶこの人なら、理解してくれるんじゃないかって。

2014年4月15日

周りの愛情

「周りの愛情を素直に受け止めて、幸せな人生を歩みつつ、両親を信じる。一番ベタなところだと。でも、それが一番素敵」
 だったら、それを目指せば良い。
「理想がないのなら、理想的な人間を目指せば良いんじゃないか?『より善い人』を目指すのでも良い、『より強い人』を目指すのでも良い。だから、『より素敵な人生を歩む人』を目指すのでももちろん良いはずだ」
 世界に、社会に、現実に対峙することなく、『素敵な人生』を追い求めれば良い。ただ、どうすれば『素敵な人生』になるか、それだけを考えて。

2014年3月31日

レビュー2

頑張って頼まれたものを買ってきた彼氏にとってはレビュー2のセリフを食べつつケーキを開いて食べ始める純夏。こいつ、殺してやろうか?「ああ、美味しい。優ちゃん、本当にありがとう」と呼春がフォローしているにも関わらず、「まあ、味が良いのは認めるわ」とか、僕の労力を完全に無視したセリフを仰る彼女。流石に怒って良いと思って口を開きかけた時、「純夏、素直じゃないと優ちゃんに嫌われちゃうよ」と呼春が言った。途端真っ赤になって黙り込んだ純夏。その様子を見ていたら何故か許せてしまった。

2014年3月17日

薔薇に名前を

自分に付けられた名前を気に入っている人はほとんどいない。誰も彼もが自分自身の名前にもやもやを感じて過ごしていると思う。あっちの方がついていたらなあ。

そう思いながら日々を送っている。親が簡単な名付けにするとカッコ悪いと言う。手が込み過ぎた名だと、その場合もしっかり呼んでくれる人がいない危険が生じる。

実際僕は、僕の下の名前を初見で読める人に出会ってない。まあ、そもそも置き字なんて言う意味の分からない名前の付け方を家族がやったんだからしょうがないか。

2014年2月25日

助け合い

助け合いは大切だよ、そうよく言うけど。そんなに深く考える必要があるのかな?そんなことを、いつだったか飛鳥先生は口走った。僕は主張した。助け合いは絶対に大切だって。僕を飛鳥先生は見つめた。腐った動物の死骸を見るような目で。その言葉、鳥肌が立つよ。そう、飛鳥先輩は言った。いつも飛鳥先生は綺麗事ばかり言ってる。一体、どうしたんだよ?そんな先生が?

私が綺麗事好きだって思ってたの?そんなわけないでしょうよ。正しいこと、間違ったことを自分で判断しているだけだ。飛鳥先生は、キメ顔でそう言った。キメ顔、決め台詞。そういった物は、僕は嫌いだ。でも、飛鳥先生のキメ顔は本当に格好良い。僕は、真剣にそう思っている。そんな飛鳥先生のキメ顔に見とれてしまった。まあ、それはいいや。本題に戻るよ、優輝。名前を呼ばれて、本題を思い出した。さっきの、人間には助け合いが必要か?という話だ。

私は、そんな事を真剣に考えるのはおかしいと思うけどね。だってさ、人間は他者を必要とする生物なんだよ?どんな方面から人間を解析しようともさ。助け合い不要論の擁護者たち。彼らは決まって同じような例を引用する。たった一人で無人島生活を送る人たちはどうなんだって。でも、そんな人達だって、物に人格を与えるんだ。そうして、その他者と対話しながら生きるんだ。本能的に、人間は他者が必要だ。なら、助け合いは必要か、なんて議論に上がること自体がおかしいんじゃないかな?そう、飛鳥先生は言った。